
12月13日は、聖人サンタ・ルチアの日。
サンタ・ルチアといえば、ナポリ民謡の♪サンタ〜ルチ〜ア〜を思い出す方も多いかもしれませんが、サンタ・ルチアはもっと南のシラクーサの守護聖人。
ラテン語のLucius(約束された光)が語源で、”目”の守り神とされています。
また、シチリア島の州都パレルモでは、別名「アランチーナの日」でもあります。パンとパスタを食べない日...。
なぜそんな習慣が?それは、サンタ・ルチアが起こした奇跡に関係しています。
目とシラクーサの守護聖人、聖人ルチアの生涯
大ギリシャ(マグナ・グラエキア)時代の重要都市のひとつで、また世界遺産の後期バロック様式の町々のひとつでもあるシラクーサは、シチリア南東に位置する美しい地中海の町。
”イタリアで最も美しい広場”とも称されるドゥオモ広場に面して建つ「聖ルチア教会 Chiesa di Santa Lucia alla Badia (聖ルチア教会)」には、サンタ・ルチアの最期を描いたカラヴァッジョの「聖ルチアの埋葬」が飾られています。

聖人になる前のルチアは、西暦283年に貴族の娘としてシラクーサに生まれました。
母親の長患いが、キリストの奇跡によって治癒したことで、熱心なキリスト教信者になりますが、そのことが、当時のローマ皇帝ディオクレティアヌスの怒りに触れ、迫害の対象に。

繰り返された拷問の最後には、なななんと!両目をくり抜かれてしまった!そうです(酷いですねー)。
それでも信仰を失うことなかったルチア。両目はなくても”見る”ことができたと言います。
シラクーサを守る守護聖人であり、またそんな伝説から、視覚に苦しむ人々を守る“目”の守護聖人とされているわけです。
シチリアの州都パレルモでは、パンとパスタ禁止の日!
シラクーサの対岸に位置する州都パレルモでは、別名「アランチーナの日」と呼ばれていますが、その由来となったのは、また別の伝説。
それは...。

1646年冬の飢餓の年。パレルモの港に、大量の麦を積んだ船が漂着しました。空腹に耐えかねていたパレルモ市民は、船が停泊するや否や、麦を精製するのさえ待てず、積荷の麦をそのまま茹でて食べました。
なんとか飢えから救われたこの日は、ちょうど12月13日。奇しくもサンタ・ルチアの殉教の日だったのです。
「これは聖ルチアの奇跡?!」
というわけで、以来、12月13日は精製した麦(パンやパスタ)を食べず、お米や茹でた麦を食べ、サンタ・ルチアに感謝を捧げる日となったのです。
パレルモでお米といえば…そう、アランチーナ!
パレルモで、お米を食べるといえば...はい!そうです。アランチーナ!
アランチーノ(複数形アランチーニ)はシチリア東岸の呼び方。発祥の地、パレルモでは女性形でアランチーナ(複数形アランチーネ)となります。パレルモで...「アランチーノ」と呼ぶと、周りの人から一斉に非難され...ませんがw、訂正されることはあります。
本場だけに、パレルモには名店も多いですが、伝統的な家庭では大量に手作りしますよ!

12月13日は、パレルモではパン屋さんがお休みになりますので、旅行中の方はご注意くださいね♪
また、アランチーナのほか、この日のための伝統菓子クッチアもいただきます!
cf:Balarm.it "Da Caravaggio a Garcia Lorca:;eggende, miti e cronache su Santa Lucia da Siracusa"