12月13日は聖人サンタルチアの日!シチリア伝統菓子『クッチア』

12/12/2020

茹でた麦とリコッタクリームの素朴な味わいシチリア伝統菓子『クッチア』

イタリアには、ナターレやカルネバール、パスクアや死者の日など…各祝日に食べる伝統菓子があります。食で季節や伝統行事を祝うのは、どこか日本の文化と似ているかも知れません。

それぞれに伝統にゆかりのあるお菓子は、知れば知るほど”食べがい”があるものです。

12月13日はサンタルチアの日

ここシチリアには、メジャーな祝日以外にも「この日のコレ」があります。そのひとつが、12月13日のサンタルチアの日に食べる『クッチア』

12月13日…あまり知られていませんが、この日はサンタルチアの日。

12月8日にクリスマスに向けた大きなイベント「無原罪の御宿りの祝日 インマコラータ・コンチェツィオーネ」があるので、ちょっと影に隠れがちですが、大事な聖人の日のひとつでもあります。

『クッチア』は、麦を茹でて、リコッタチーズのクリームといただくとても素朴なお菓子ですが、これには、聖人サンタルチアの奇跡にゆかりがあります。

飢餓を救ったサンタルチアの奇跡

サンタルチアは、シチリア島シラクーサの街の聖人。

キリストに一生を捧げ、迫害されたサンタルチアは最期、目をくり抜かれて殉教したことで知られ、光(ルーチェ)の語源でもあり、目の守り神でもあります。

参考 サンタルチアの生涯詳細とパレルモのアランチーナの話

『クッチア』の起源は、シチリアが飢餓に襲われた1646年に遡ります。

冬の最中の嵐で漂流した貨物船がパレルモの港に漂着。その船には、麦が積載されていました。空腹に耐えかねていたパレルモ市民は、その麦を精製するのも待ちきれず、そのまま茹でて食べ、飢餓から救われたのです。

たまたまこの日が、サンタルチアの殉教の日12月13日だったことから、これはサンタルチアが起こした奇跡として、伝えられているわけです。

『クッチア』ってどんなお菓子?

『クッチア』は、「市民を飢餓から救った麦を食べ、サンタルチアに感謝をしよう」というコンセプトのお菓子

12月13日のパスティッチェリアにずらりと並ぶ『クッチア』

濃厚なリコッタクリームと麦のプチプチ感が絶妙な『クッチア』。素朴な味わいで、作り方も素朴でシンプル。各家庭でも作ります。

納豆ではありませんよー麦ですよー

茹でた麦に、新鮮なリコッタチーズに砂糖を加えて作るクリームを和え、チョコレートチップをまぶすだけ!リコッタチーズにカカオを加えたチョコレート風味もあります。

難破船から降ろされた麦を慌てて茹で、我先に食べたであろう味わいが、容易に想像できる塩味バージョンもありますが、やはり人気はドルチェバージョン。

パレルモでは、アランチーナを食べる日でもある

ちなみに、パレルモではパンやパスタは食べない日にもなっています。

小麦が食べられない飢餓気分を再現するというわけです。しかし、もちろんクッチアは食べるので、「麦を食べて奇跡に思いをはせるのかか、食べないのか。どっちなんだ?!」という気はしないでもないですが、美味しければすべて良し。

パレルモには、名物のアランチーナ(ライスコロッケ)がありますので、ほとんど必然的にアランチーナを食べることになります。ゆえに、パレルモでは、サンタルチアの日=「アランチーナの日」でもあります(詳細は上のリンクから!)。

 ▼アランチーナの日のパレルモ

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