ハロウィン翌々日は、イタリアのお盆”死者の日”
ハロウィンは、ケルト人の習慣が由来の”秋の収穫を祝い悪霊を払う祭”とされています。日本ではアメリカ文化の影響からか、仮装に力を入れるイベントになっていますね。イタリアでも、同様に仮装を楽しむハロウィンパーティがありますが、翌日・翌々日を伝統的に祝う習慣がまだ色濃く残されています。
キリスト教において、11月1日は”諸聖人の日(万聖節)Ognissanti”。すべての聖人と殉教者に祈る日で、万聖節に続く11月2日は、”死人の日(万霊節)Festa dei morti”と呼ばれ、すべての死者の魂を祈る日となります。
いわば、イタリアのお盆!先祖の墓地をお参りし、お花やお供えをします。
シチリアでは”お盆”が近づくと、ハロウィンのカボチャと並び、”死者の日のお菓子”が店頭に登場します。習慣的に祝祭時や季節を告げる伝統菓子をいただく文化は、ちょっと日本と似てるかもしれません。
ちなみに10月31日は、古代ケルト人の大晦日にあたりSamhain(すべての魂の意味)と呼ばれていた日。異教のため、キリスト教社会からは排除され、新たに万聖節と万霊節が設けられた…なんて話もあります。
>>>Cf.Origini e tradizioni della Festa dei morti in Sicilia
”死者の日”のシチリアの伝統菓子 フルッタ・マルトラーナ
有名なのは、アーモンド生地のマジパンで作るフルッタ・マルトラーナ。シチリア土産としてお土産屋さんにも年間通して見かけるので、シチリアを訪れたことがある人はご存知かもしれませんね!

本物さながら?フルッタ・マルトラーナ
フルーツや野菜などを模した極甘のお菓子で、パレルモのマルトラーナ教会併設の修道院が起源です。
また、骨を模したオッソ・デイ・モルティ(「死者の骨」の意味)と砂糖で作る人形型のお菓子プーピ・ディ・ズッケロも伝統的な”死者の日”のお菓子。

”死人の骨”とは、微妙なネーミング
ほか、ヴィーノ・コットで作るムスタッツォーラ、はちみつのラーミ・ディ・メーリ、ゴマをまぶしたレジーナなどなど、シチリア各地に”死者の日”の伝統菓子があります。お菓子各種とドライフルーツをカゴに持ったものをお供えすることも。まさにお盆の趣です。
この時期に限らず商業的なイベントに駆逐されがちな伝統行事も、シチリアには”この日ならでは”お菓子や料理で祝う習慣が今もしっかりと残されています。
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