シチリアの風景に欠かせない植物といえば、オリーブ、葡萄、そしてフィーキ・ディ・インディア。日本語では「インドイチジク」とも呼ばれます。
晩夏を告げるシチリア名物フィーキ・ディ・インディア
サボテン科のウチワサボテン類に属し、学術名は「オプンティア・フィクス・インディア Opuntia ficus-india」。ウチワのように丸く平たい肉厚の葉(茎節)を縦横無尽に広げる姿は独特で印象的です。
5月頃、”うちわ”の縁に花が咲き、
花が落ちるとプクプクと実が育ち、8月初旬からショッキングピンクや黄色、赤などカラフルに色づき始めます。
花は乾燥させてハーブティー(利尿効果)として年間通して売られていますが、実が出回るのは8月下旬〜9月にかけて。
フィーキ・ディ・インディアが並び始めたら、もうすぐ夏も終わり。
さて、秋の訪れを予感させる味覚、どうやって食べるのでしょう?
黙視不可レベルの毛細トゲに覆われた皮を剥いて
剥き方は簡単。頭とお尻に切り込みを入れて、ぺろっと剥いたら、ハイ!出来上がり。
しかし!鋭いトゲが生えたサボテンにできる実。みっしりと細かいトゲで覆われています。
うっかり触ってしまえば…とげぬきで取ろうとしても無理。何日もチクチクチクチク…違和感を感じて過ごさねばなりません。
(うっかり触ってしまったら、毛糸製のセーターの切れ端などでカシカシこするのがコツ。)
上の画像は百戦錬磨のカーポ市場のおじさんの実演。慣れているから素手で大丈夫というツワモノですが、素人さんは厚手のゴム手袋必須です。
面倒なので剥き身の状態でも売られています。
食べるのにもコツがいる!錠剤が苦手な人には難しい?!
苦労して剥いた中身はどんな味かといえば、ジャガイモとスイカと柿を足して3で割ったような風味。
その上、固めで大粒の種がぎっしり詰まっているので、噛んだふりして飲み込むのがシチリア流です(錠剤を大量に飲む感じ)。
そんなややこしい食べ物…なぜシチリア人は大好きなのか。それは日本人が納豆を好きなようなものかもしれません。シチリアン・スピリットを理解するには、ひとつふたつ食べたくらいでは、わからないでしょう(笑)。
トラットリアやレストランのデザートにそのまま(剥き身)出てくるほか、フレーバーとしてジャムやジェラートにもなります。柿的な食感と甘さを利用して、料理に使われることもあります。
名産地はサン・コーノ 収穫には専用器具も!
シチリア全土、至るところでボコボコ生るフィーキ・ディ・インディアですが、名産地はサン・コーノ。
シチリア島東南の内陸部に位置する町で、延々と続くフィーキ・ディ・インディア畑を見ることができます。
高速道路から見える畑エリアを通る時、シチリア人が必ずと言って良いほど「あの畑に飛び込んだら…」と言い出します。そして皆んなで「きゃー」と言う…。これもひとつのシチリアの習慣です(?)。
ちなみに、大規模農場ではなく個人で庭や”その辺”で収穫する場合には、専用器具を使います。
夏の終わりから秋にかけてシチリアを訪れたなら、こんな風景を見かけることがあるかもしれませんね!