”噛んだふりして飲む”のが本場シチリア流?!晩夏の味覚フィーキ・ディ・インディア(インドイチジク)

09/29/2020

シチリアの風景に欠かせない植物といえば、オリーブ、葡萄、そしてフィーキ・ディ・インディア。日本語では「インドイチジク」とも呼ばれます。

晩夏を告げるシチリア名物フィーキ・ディ・インディア

サボテン科のウチワサボテン類に属し、学術名は「オプンティア・フィクス・インディア Opuntia ficus-india」。ウチワのように丸く平たい肉厚の葉(茎節)を縦横無尽に広げる姿は独特で印象的です。

5月頃、”うちわ”の縁に花が咲き、

花が落ちるとプクプクと実が育ち、8月初旬からショッキングピンクや黄色、赤などカラフルに色づき始めます。

花は乾燥させてハーブティー(利尿効果)として年間通して売られていますが、実が出回るのは8月下旬〜9月にかけて。

フィーキ・ディ・インディアが並び始めたら、もうすぐ夏も終わり。

さて、秋の訪れを予感させる味覚、どうやって食べるのでしょう?

黙視不可レベルの毛細トゲに覆われた皮を剥いて

剥き方は簡単。頭とお尻に切り込みを入れて、ぺろっと剥いたら、ハイ!出来上がり。

しかし!鋭いトゲが生えたサボテンにできる実。みっしりと細かいトゲで覆われています。

うっかり触ってしまえば…とげぬきで取ろうとしても無理。何日もチクチクチクチク…違和感を感じて過ごさねばなりません。

(うっかり触ってしまったら、毛糸製のセーターの切れ端などでカシカシこするのがコツ。)

上の画像は百戦錬磨のカーポ市場のおじさんの実演。慣れているから素手で大丈夫というツワモノですが、素人さんは厚手のゴム手袋必須です。

面倒なので剥き身の状態でも売られています。

食べるのにもコツがいる!錠剤が苦手な人には難しい?!

苦労して剥いた中身はどんな味かといえば、ジャガイモとスイカと柿を足して3で割ったような風味

その上、固めで大粒の種がぎっしり詰まっているので、噛んだふりして飲み込むのがシチリア流です(錠剤を大量に飲む感じ)。

そんなややこしい食べ物…なぜシチリア人は大好きなのか。それは日本人が納豆を好きなようなものかもしれません。シチリアン・スピリットを理解するには、ひとつふたつ食べたくらいでは、わからないでしょう(笑)。

トラットリアやレストランのデザートにそのまま(剥き身)出てくるほか、フレーバーとしてジャムやジェラートにもなります。柿的な食感と甘さを利用して、料理に使われることもあります。

名産地はサン・コーノ 収穫には専用器具も!

シチリア全土、至るところでボコボコ生るフィーキ・ディ・インディアですが、名産地はサン・コーノ。

シチリア島東南の内陸部に位置する町で、延々と続くフィーキ・ディ・インディア畑を見ることができます。

高速道路から見える畑エリアを通る時、シチリア人が必ずと言って良いほど「あの畑に飛び込んだら…」と言い出します。そして皆んなで「きゃー」と言う…。これもひとつのシチリアの習慣です(?)。

ちなみに、大規模農場ではなく個人で庭や”その辺”で収穫する場合には、専用器具を使います。

夏の終わりから秋にかけてシチリアを訪れたなら、こんな風景を見かけることがあるかもしれませんね!

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