パレルモの美しい館|シチリア文化遺産の天井画が見下ろすーパラッツォ・イスネッロ Palazzo Isnello

05/21/2022

パレルモ旧市街を貫くメインストリート・ヴィットリオ・エマヌエーレ通り、通称カッサロー(王宮へ続く道)に立ち並ぶ”貴族の館”のひとつ、パラッツォ・イスネッロ(イスネッロ宮殿)。

バロック時代に活躍したヴィート・ダンナ作の巨大な天井画「Torionfo di Palermo パレルモの凱旋」がメインホールを飾ります。

パレルモの貴族文化を今に伝える希少な文化遺産

古代から3千年もの歴史が宿るパレルモ。12世紀にシチリア王国が建国され、首都となって以来、いつの時代もシチリアの文化・政治の中心にありました。

スペイン王国期には、豪華絢爛な貴族の館が続々と建築された旧市街では、今も当時花開いた貴族文化の面影をまざまざと見ることができます。

パラッツォ・イスネッロのバルコニーからは、ヴィットリオ・エマヌエーレ通りを一望。守護聖人サンタ・ロザリア祭を見るためだけに18世紀に建造されたもので、長さはなんと30m!

ヴィットリオ・エマヌエーレ通りの中程に建つパラッツォ・イスネッロは、中世時代の屋敷跡を基礎に、1750年にイスネッロの伯爵およびバウチーナ王(いずれも現存するシチリアの街)のヴィンチェンツォ・テルミニが建設。1760年に大々的な修復が施され、現在見られる姿になりました。

外観は、後期バロック様式からの移行期であった当時の最新流行を取り入れた新古典様式のファザード、ナポリのカゼルタ宮殿同様のロココ調の内装をミックスした興味深い建築様式であることから、建物全体が歴史的・芸術的価値があるとされ、2012年にイタリア文化遺産に指定

さらに、2021年には天井画を含む内観部分が、シチリア州文化遺産に指定されています。

守護神と守護聖人が舞い降りる歓喜の天井画

パラッツォ・イスネッロの見どころは、何と言ってもメインフロアを飾る巨大なフレスコ天井画。冒頭の写真にあるように、パレルモ守護人ジェニオ・ディ・パレルモが華々しく描かれています。

1760年ヴィート・ダンナ作のサイン

現在、ジェニオ・ディ・パレルモの像としてパレルモに現存するものは、8体のみで、王宮、パラッツォ・アクイラ(パレルモ市庁舎)、リヴォルツィオーネ広場、ブッチリア地区のガラッフォ広場、ジュリア庭園、パレルモ港、ジェズ教会、パラッツォ・イスネッロの天井画。技巧、デザイン、テーマ、そしてその希少性から、芸術および歴史的価値の高い逸品として、保護対象とされています。

屋内には、別室にあるフランチェスコ・ソッツィの天井画「Quatro Stazione 四季」や、ヴィート・ダンナ作の珍しい木製扉など、多くの歴史的芸術作品が残されています。

現在も伯爵家が居住するプライベートな館

パラッツォ・イスネッロは、当初の当主から19世紀にサント・アンティモ王ヴィンチェンツォ・ルッフォに受け継がれた後、歴史家ミケーレ・アマーリが居住していましたが、ヴェルディ作のオペラの題材にもなった「シチリアの晩鐘ーヴェスプリ・シチリアーニ」を発行後、ブルボン王家からの迫害に遭いパリに亡命。

その後、第二次世界大戦の爆撃による損傷の修復を経て、20世紀中盤に著名なフランス文学者ジャンポール・デ・ノーラ伯爵が取得し、現在も同伯爵家が所有しています。

パレルモの多くの貴族の館は、美術館や博物館、ホテル、アパルタメントなどに改装されていますが、このイスネッロ宮殿貴族階は、今も住居として使用されているため、文化遺産ではありながら一般公開はされておらず、プライベートなパーティで使用するほか、映画やメディア撮影、各種イベント時に特別解放が行われています。

▼日本からバレリーナも!貴族の館でサンタ・ロザリア祭

パラッツォ・イスネッロ Palazzo Isnello
Via Isnello, 10  
見学はリクエストのみ:info@lavacanzaitaliana.com(日本語)

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